ジャンプ新連載「逃げ上手の若君」の主人公・北条時行について調べて見た

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ジャンプの新連載で、鎌倉時代末期から南北朝時代の歴史上の人物である北条時行を主人公にした漫画「逃げ上手の若君」が始まった。

作者は「魔人探偵脳噛ネウロ」や「暗殺教室」で有名な松井優征先生だ。

創作物では取り上げられることの少ない南北朝時代を舞台にした作品ということで、歴史好きの注目を集めている。

ニコニコ動画でゆっくり音声による歴史解説動画を投稿している太田うしいちさんは、以前から南北朝時代好きであることを公言しており、「逃げ上手の若君」連載開始後に応援動画を投稿している。

恥ずかしながら、この漫画を読むまで北条時行という人物のことは全く知らなかったので、この機会に調べてみた。

鎌倉幕府最後の得宗の遺児

北条時行は、鎌倉時代末期に鎌倉幕府の事実上の支配者である北条氏の当主北条高時の次男として誕生した。

生年に関しては不明なようだが、兄の北条邦時が正中2年11月22日(1325年12月27日)生まれなので、それ以降ということになる。

漫画の第1話では、鎌倉幕府滅亡が描かれた。

史実では、元徳3年(1331年)、鎌倉幕府と後醍醐天皇の戦いである元弘の乱が発生。

はじめ戦局は鎌倉幕府・北条氏に有利だったが、足利高氏(後の尊氏)が後醍醐方に離反したことで戦局が一変。朝廷の監視機関である六波羅探題が高氏によって攻め滅ぼされ、さらに新田義貞による鎌倉攻めが行われ、時行の父である高時をはじめ北条一門の多くが自害し、鎌倉幕府は滅亡した。

漫画では高氏によって鎌倉が攻め滅ぼされたような描写になっていたが、これは鎌倉滅亡時点で義貞の軍は高氏の軍の一部と見なされていたことと、漫画的に敵を明確にするためと思われる。

三度の鎌倉奪還と敗走

時行の人生が劇的なのは、鎌倉を奪還するが短期間で奪い返されるということを三度も経験した点だ。

そのうち二度は戦で大敗するも、本人は逃げ延びて再起している。

漫画における逃げの才能はこの点に着想を得たのだろう。

三度目の敗北では、ついに足利方に捕らえられ処刑されることになるが、伝承ではこの時も生き延びて子孫をもうけたという話もあるようだ。

漫画では逃げの才能を強調をするために、伝承のほうを採用するのではないかと予想されるが、実際にどのような展開になるのか楽しみだ。

先代と当代の間に位置する存在「中先代」

時行は短期間ながら武家の府である鎌倉の支配者となった。

このため、先代の武家の筆頭である高時と当代の武家の棟梁である足利尊氏との中間の存在として、時行を「中先代」と呼ぶようだ。

この「中先代」という呼称は、かつての武家政権の首都・鎌倉を実力で征服した武勲が評価されて、北条氏の祖や尊氏と同質の者と見なされたことによるという説があるようで、歴史的に低くない評価がされていることがわかる。

また、時行討伐の際に、足利尊氏は征夷大将軍の地位を後醍醐天皇に要求して断られたが、これは時行を尊氏は恐れており、征夷大将軍という権威で対抗して乱の鎮圧を万全なものにしようとしたという説があるらしい。このあたりが漫画でどのように描かれるかも気になるところだ。

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