陰陽座徹底解説

陰陽座

「妖怪ヘヴィメタル」をコンセプトに掲げ、王道的なヘヴィメタルに影響を受けた西洋のサウンドと、妖怪や日本の伝承などの和の世界観を融合させた作品を特徴とするバンド陰陽座。

この記事では陰陽座の魅力について解説する。

  🔽こちらの記事では、陰陽座の魅力を3つに絞って解説しています

陰陽座のメンバー

ボーカル:黒猫

陰陽座の紅一点でメインボーカル。

「ゆりかごから墓場まで」と言われる幅広い表現の歌声が特徴。

陰陽座結成以前から黒猫名義で活動していたことから、他のメンバーもそれに倣い猫にちなんだ名前を名乗っている。

ベース・ボーカル:瞬火

バンドのリーダーであり、楽器はベース・ボーカルを担当。

バンドのメインの作曲者であり、妖怪や歴史上の武将など、陰陽座の世界観はほとんど彼の趣味によるもの。

愛媛県八幡浜市出身で、作品の中には愛媛県の方言を使ったものもある。

メジャーデビュー以前は広告代理店でグラフィックデザイナーとして勤務していたことがあり、陰陽座のCDやDVDのアートワークは全て瞬火が担当している。

ギター:招鬼

リーダー・瞬火の実弟で、陰陽座のギタリストの一人。

ゲイリー・ムーアに影響を受けており、叙情的な演奏を得意としている。

コーラスではデスボイスを担当することも。

陰陽座結成前は漫画家を目指して専門学校にも通っていたこともあり、その経験を活かして、陰陽座のグッズのイラストはほとんど彼がデザインしている。

ギター:狩姦

瞬火・招鬼と同じ八幡浜市出身の、もう一人のギタリスト。

速弾きを得意としており、招鬼とは対照的にテクニカルなプレイが特徴。

特に「忍法帖」シリーズでは、忍法的なギターソロを披露してくれる。

唯一無二の妖怪ヘヴィメタルバンド

「妖怪ヘヴィメタル」をコンセプトに掲げていることもあり、陰陽座の作品には妖怪を題材にしたものが多い。

陰陽座にとっての妖怪は、リーダー瞬火曰く“それを見た、あるいはいたと思う人々の心を描くことで、それこそ喜怒哀楽、もしくはその間にある微妙な心理、人間の心そのものを描く”ものであるとのこと(ぴあ関西版WEBインタビューhttp://kansai.pia.co.jp/interview/music/2014-11/onmyoza-fujinraijin.html)。

妖怪や日本の武将をテーマとしているのは、元々瞬火が個人的に好きだったためだが、図らずも竜や魔法や騎士をテーマとしている海外のヘヴィメタルバンドを対比的に日本に置き換えたものになっている(リアルサウンドインタビューよりhttps://realsound.jp/2016/12/post-10348.html)。

山田風太郎へのオマージュ・忍法帖シリーズ

陰陽座がインディーズ時代から一貫して続けている楽曲シリーズ『忍法帖シリーズ』。

瞬火がファンであることを公言している山田風太郎の『忍法帖』へのオマージュであり、『忍法帖』と名のつく作品が1つのアルバムに1曲入っている(例外的にコンセプトアルバムである「鬼子母神」には『忍法帖』が入っていない)。

陰陽座の『忍法帖』には以下の5つのルールがあり、作品によってルールが緩和されることもある。

①キーはAマイナー

②楽曲の長さは4分程度

③歌唱担当は黒猫

④狩姦による忍法的なギターソロ

⑤Aメロとサビと言う簡素な構成

アルバム紹介

1st 鬼哭転生

インディーズ時代に制作された陰陽座初のアルバム。
バンド結成から1年未満の時期に制作され、瞬火はベースに転向したばかり、ギター2人は初めてのバンドということもあり、さすがに演奏力などで拙さを感じさせられる部分はあるが、「妖怪ヘヴィメタル」のコンセプトはこの頃から一貫していることを感じさせられる。
「鬼斬忍法帖」・「百の鬼が夜を行く」・「陰陽師」など、ライブで人気のある曲も多く収録されており、作品自体の完成度は決して低くはない。
演奏面の荒削りな部分も、ケレン味の効いたアルバムの雰囲気には合っていると感じる。

2nd 百鬼繚乱

インディーズ二作目のアルバム。
1st「鬼哭転生」と比較して、アルバム全体の完成度が高まったと感じさせられる。
陰陽座の中では特にダークでドロドロした雰囲気のアルバムで、タイトルの通りまさに百鬼が入り乱れているような印象を受ける。
一作目で「妖怪ヘヴィメタル」を打ち出し、この作品で「妖怪ヘヴィメタル」を完成させ、以降の作品で「妖怪ヘヴィメタル」の幅を広げていったと個人的には思っている。

3rd 煌神羅刹

陰陽座の記念すべきメジャーデビューアルバム。
インディーズ2作にあったおどろおどろしさが薄れ、人によっては物足りなさを感じるかもしれないが、その分非常に聞きやすくなっているとも言える。
インディーズ時代のアルバムが“陰陽”の“陰”の部分が強く現れていたのと比較して、“陰”と“陽”がバランスよく表現されている。
疾走感のある曲が多く収録されていて、メロスピ系が好きな人は気に入りやすいかもしれない。

4th 鳳翼麟瞳

タイトルが鳳凰と麒麟という神聖な存在から名付けられていることもあり、陰陽座の“陽”の部分に比重を置いたアルバム。
前3作と比べてキャッチーな曲が多め。
正統派メタルの「鳳翼天翔」、「忍法帖」シリーズの代表作の一つ「妖花忍法帖」、10分を超える長尺な曲ながら最後まで飽きさせることのない大作の「鵺」など完成度の高い楽曲が多く収録されている。
ジャケットのデザインも非常に凝っており、これ以降ボーカル黒猫をモチーフにしたジャケット絵が続くことになる。

5th 夢幻泡影

実在する四文字熟語が初めてタイトルに使われたアルバム。
夢幻泡影 (むげんほうよう)とは、仏教に由来する言葉で人生の儚さを喩えたもの。
収録されている楽曲も儚さを連想させるものが多い。
メロスピ曲、ポップロック、デスメタル、バラード 曲などバラエティに富んだ楽曲がバランスよく収録されていて、アルバムとしての完成度が非常に高い。

6th 臥龍點睛

3ヶ月連続リリースで発表された組曲「義経」や有名な「甲賀忍法帖」など、陰陽座の記念碑的作品が収録されたアルバム。
全体的にメロディアスで非常に聴きやすいが、その分重厚感やおどろおどろしさがなりを潜め、初期のアルバムが好きな人からの評価は低くなってしまうかもしれない。
個人的には完全版の組曲「義経」を聴くことができるだけでも価値があるが。

7th 魔王戴天

前作「臥龍點睛」とは一転してヘヴィでハードなアルバム。
全体的に力強さを感じさせられる作品が多く、その上で正統派、疾走曲、スラッシュ、ドゥーミー、お祭り曲と多彩な表現を魅せてくれる。
アルバム全体の演奏時間が50分未満という非常に短い時間の中に、陰陽座の渾身の力が凝縮して込められた一枚。

8th 魑魅魍魎

タイトルが示すとおり、陰陽座の世界観の核である“妖怪”に特に焦点を当てたアルバム。
前作「魔王戴天」と同様にヘヴィさを追求したものと思われるが、「魔王戴天」はそれに加えて勢いを重視していたのに対し、この「魑魅魍魎」は勢いを若干抑えたかわりにより重厚感を増したように感じられる。
ファン投票でトップ常連の「道成寺蛇ノ獄」と最下位に輝いた(?)ことのある「野衾忍法帖」が両方この一枚に収録されているのが面白い。

9th 金剛九尾

バンド結成10周年の年に発表されたアルバム。
リーダー瞬火によると、最強の妖怪である九尾の狐をモチーフとした作品を作ることは以前から構想にあり、9枚目の作品として出す予定であったとのこと。
メロディアスな点は過去作では「臥龍點睛」が近いと思われるが、その美貌で時の帝を籠絡した九尾の狐をタイトルに冠しているからか、全体的に艶っぽいさがあり、これまでの陰陽座のどの作品ともまた違った雰囲気を持っている。
10年の活動の中で、陰陽座の表現の核の部分は一貫していながらも、表現の幅を広げてきたことが分かる作品

10th 鬼子母神

陰陽座初のコンセプトアルバム。
バンド結成直後に瞬火はメンバーに“10枚目のアルバムは、鬼子母神の伝承を基にしたコンセプトアルバムを作りたい”と語っていたらしく、構想12年を経て満を持して制作された。
このアルバムのために脚本「絶界の鬼子母神」が瞬火によって書き下ろされ、そのストーリーを音楽で表現したものになっている。

11th 風神界逅

風神・雷神をモチーフとした2枚同時発売アルバムの一つ。
優しいそよ風から凶悪な暴風まで、“風”をキーワードに様々な要素を取り入れた楽曲が収録されている。
ちなみに前年に発売されたベスト・アルバム「龍鳳珠玉」収録の「吹けよ風、轟けよ嵐」が2枚同時発売の伏線になっている。

12th 雷神創世

2枚同時発売のもう一つで、“雷”をキーワードに制作されたアルバム。
“雷”という言葉から想起される激しいイメージの楽曲が収録されている。
なお「風神界逅」と「雷神創世」のジャケットを横に並べると、「風神雷神図」を反転させた構図になるようにデザインされている。

13th 迦陵頻伽

迦陵頻伽とは、仏教に由来する上半身が人間で下半身が鳥という想像上の生き物のこと。
非常に美しい声で歌うとされており、リーダー瞬火は歌や音楽と直結した存在である迦陵頻伽をテーマにしたアルバムをいつか作りたいと結成当時から考えていたらしい。
黒猫の歌にフォーカスした楽曲が多く収録されている。

14th 覇道明王

ヘヴィさを前面に押し出したアルバム。
力強いサウンドの楽曲のみで構成されており、非常に統一感のある一枚。
前作「迦陵頻伽」が陰陽座の表現の多様さの集大成とするならば、今作「覇道明王」は陰陽座の表現の核を掘り下げた作品と言える。

YouTube公式チャンネル

YouTubeの陰陽座公式チャンネルでは、ライブ映像やミュージックビデオを観ることができる。

陰陽座YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/user/omzofficial

作品解説

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